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※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2015年4月19日日曜日

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』92点



「意味わかんないだけど」


観賞後、前に座っていたヤングな女性が乾いた声で言い放った。


そんな彼女の背中を綿谷りさばりに、蹴りたい。
っていうのは嘘だけど、

「意味なんてわからなくて良いのだ!この映画は!」
と、背中ごしから言いたい。


でもきっと彼女はこういうだろう。


「じゃあどこが面白いの?」


いや、そもそも2時間近くワンカット長回しでとってるとかあり得ないから!
あの撮影どれだけ大変かわかってんの?
イニャリトゥ監督がすべてのシーンで、
俳優の顔の向き、動作も事前に決めて1発勝負で撮影してんだぞ!
革新的撮影監督エマニュエル・ルベツキ!
『ゼロ・グラビティ』もこの人。

















「それってスゴいのもしれないけど、話の面白さと関係ないじゃん…」


いや、バカ!
マイケルキートンが落ちぶれたアメコミ俳優っていうパロディから始まり、
随所でアメコミを全力でバカにした感じとか、
映画業界全体、それを批評する批評家にすら全力で中指立ててる感じとか、
エドワード・ノートンが個性派俳優過ぎて成立してない人格破綻者だったり、
ナオミワッツが演技力あるのに全く売れない女優で、しかもレズって設定とか、
名作『マルホランド・ドライブ』のパロディってわかんなかったの?
この人にさえない女優の役やらせて右に出る者いるの?














「わかんないし…そもそも興味ないし…そもそも結末なにあれ?」


いや、感じろよ!
サブタイトルから感じろよ!
無知が奇跡をもたらしたんだよ!
無知だからこそ彼は真のバードマンになれたんだよ!
あのエマ・ストーンの絶妙な「パパやったわね!」って顔見たらわかんだろ!
パパを全力でディスるシーンも
息を持つかせぬ迫力で最高だった


















「はぁ?結局何が言いたいわけ?あなたとは笑いのツボが…」


いや、こっちこそこの批評性と芸術性と技術が結集された、
まさにアカデミー賞にふさわしい作品を感じられないお前は願い下げだ!


という、
どちら側の人間も、この映画の餌食になっていて、
まさにこの映画そのものである。


だからこの作品の興行収入が、
アカデミー賞・作品賞歴代受賞作の中でワースト2位
(ちなみに1位は『ハート・ロッカー』)であることも
ある意味納得できるわけで、簡単に言えば見る人を選ぶ映画なわけだ。


映画が好きな人は一人で静かに見に行くか、
映画好きの友達と観に行って、熱い映画談議を交わせばいいし、

「映画デートで決めにいくぜ!」という、付き合うには至っていない
女を口説きたい奴は『エイプリルフールズ』とか観に行けばいいし、

というわけで、この92点は自分自身に言い聞かせる92点とします。


個人的には最高に好きな映画で、絶対にDVD買うし、
もう一度観に行って、自分なりに解釈しようと思います。

って言ってる俺かっこいい。的映画の極致。


「この映画を面白いと言える俺カッコいい」

あるいは逆に、

「この映画を認めたら映画をわかってるとは言えない」的映画の極致。

それがバードマン。そしてそいつもバードマン。












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