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※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2014年4月18日金曜日

映画『ローン・サバイバー』83点


2014年4月17日観賞。


久しぶりに一人映画したけど、良い映画だった。
先に言ってしまえば、この映画の中核となる戦闘シーンは、
『プライベートライアン』のそれに匹敵する
戦争映画史に残るハイレベルな緊迫と絶望を
完璧に表現しきった映像美だった。


さて、そんなローン・サバイバーだがWikiによれば・・・

アメリカが誇る精鋭特殊部隊ネイビー・シールズによる
アフガニスタンにおけるターリバーン指導者暗殺作戦中に起きた、
ネイビー・シールズ史上最大の悲劇といわれるレッド・ウィング作戦を、
実際に作戦に参加し、ただ一人奇跡の生還を果たした
元隊員マーカス・ラトレルの手記
『アフガン、たった一人の生還』を原作に映画化。



ネイビーシールズと言えば、つい最近DVD化もされた
キャプテン・フィリップス(82点)』でも大活躍した
超最強精鋭部隊である。


なにがどう超精鋭かというと、
訓練期間中に85%が脱落するという過酷な訓練を乗り越えた
まさに「最強」という言葉がふさわしい男達の集まりなのだ。

ちなみにその「過酷」っぷりは映画冒頭で
実際の映像を交えて紹介されていて、一番引いたのは
両手両足を縛られたままプールに突き落とされる訓練。

もはや訓練なのか拷問なのか意味不明だが、
そんな地獄のような試練を乗り越えた精鋭部隊。
ラストで実際の4人の写真が出てくるが、皆似ていた











ところがどっこい、最強の4人がタリバンにフルボッコにされる。
本当に為す術無く、徹底的に劣勢に追い込まれる。

血だらけで体中傷だらけでボロボロ











200対4なんだから、そりゃいくら最強だろうと
そうなるが自然の道理ってことなんだけど、
この映画の真骨頂がここに凝縮されている。

アクション映画お決まりの、

いくら敵が主人公に向けて銃を乱射しようとも
なぜお前には銃弾が1発も当たらないんだ?

ダイハードのマクレーン警部 この人は絶対に被弾しない












ミスター不死身 ジャックバウワー
被弾はするけど絶対に急所は撃たれない













そんなフィクション的甘えを一切許さないのが戦場。
というわけで最強の4人は被弾しまくる。
体中が穴だらけになる。
タリバンは容赦しない。
銃撃にとどまらず、バズーカ砲だって連発してくる。
殺しても殺しても出てくるタリバン










普段「どうせ死なないだろ」と安心してみていられる
アクション映画とは一線を画するノンフィクションが
そこにはあるわけで、彼らは「簡単に」被弾し、
あっという間に絶望的に追い込まれていく。

そして個人的にこの映画におけるベストシーンは、
追い詰められた4人が断崖絶壁の崖から飛び降りるシーン。

飛び降りるって言うか、もはや転げ落ちるだけなんだけど、
逃げ道がなさ過ぎて、選択肢が親ライオンが子ライオンを
崖から突き落とす的な崖から飛び降りるしか無いのだ。
なぜならタリバンは逃げても逃げても追ってくるから。

これだけの崖から落ちて逃げたら流石にもう追ってこないだろ
何て思っていたとたんにまたもや銃弾の雨あられが襲いかかる。
そんな絶望的状況がこれでもかというくらいにリアルに描かれながら
数十分以上続くのだから、緊張感は一切途切れることは無い。
そこにはアクション映画にある爽快感は全く存在しない。


そしてもう一つこの映画の重要なテーマ。
それはマイケル・サンデル顔負けの究極の選択的道徳授業。


何かというと、タリバンの幹部が潜んでいるとされる街を
雑木林の中から偵察していた四人だったが、
そこで運悪く地元の山羊飼いに遭遇してしまう。











四人は山羊飼いたちを縛り上げた後、彼らは悩む。
目の前にいる地元民をどうするべきか。
というわけで、上官に指示を仰ごうと無線を手にするが、
こういう時に限って通信状況が悪くて一切連絡は取れない。

さて、ここでどんな道徳の授業が開始されるかというと、


①罪なき地元民を解放
罪の無い人間を傷つけることは倫理的にも国際法的にも許されない
しかし解放すれば4人の存在をタリバンに通報する可能性大
つまり、自分たちの命が危険にさらされる危険性大


②地元民を縛り付けたまま放置
凍死したり狼に食われてしまうかもしれない=殺すことと同義

③地元民を殺害
結果的に自分たちの命を守るための「正当防衛」
しかし罪なき民を殺害した米軍は世界中から非難される


ここで4人がどんな結論を下したかは、
予告動画を見れば明らかであるが、
3つの選択肢、どれが正解だとか討論するつもりもないし、
道徳授業なんてクソ食らえだし、正解なんてどうだって良い。

そもそもこんな選択を強いられなければいけない状況が
現実世界に「実話」として存在し、結果的に相当数の人間が
この「選択」によって犠牲になっているという狂った現実がある。

そんな現実をこの映画はたたみかけるように教えてくれる。



そして、タリバンの圧倒的な破壊力の前に
「なぜ一人だけが生き残ることが出来たのか?」












この答えは、意外すぎるというか、信じられないものであった。

映画を観ていて、「は?こんなのあり得ないでしょ!」と、
急にフィクションを見せられているような、
危うく完全に冷めてしまいそうになるくらいに「あり得ない」理由。

その理由はぜひ映画を観て確かめて欲しい。
しかし確かめたとしても、それでも信じがたいくらいに「あり得ない」
そのわけを池上彰氏がさすがの解説で紐解いてくれているので、
是非、観賞後に読んでみて欲しい。


そんな良い映画であることは間違いないのだが、
90点に及ばなかった理由は、
最後救出されるまでの流れが「あり得ない理由」抜きにしても
美しすぎるし、タイミングが良すぎるし、よく出来て良すぎるから。

あれも実話なら間違いなく90点超えだけど、
アメリカ軍のヘリが来るタイミングとか
絶対にフィクションでしかあり得ないタイミングだったから。
ノンフィクションだったら謝ります。

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