注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2013年11月23日土曜日

映画『ゼロ・グラビティ』100点


映画の天才」試写会にて鑑賞。


これは紛れもなく傑作。

自分にとっての生涯ベスト1は、
デビット・フィンチャーの『ファイト・クラブ』で間違いなかったが、



このキュアロンの最新作『ゼロ・グラビティ』には弱点が無い。
1度見た限りで言えば、91分間1秒たりとも隙が無いのだ。
そういう意味での100点映画。

「百年に一度の作品」


と言われてもそんなハードルを軽く超越してしまうほど。


キュアロンといえば、『トゥモロー・ワールド』における
戦闘シーンの「長回し(編集点無し)」は、
映画史に燦然と輝く伝説とも言える撮影技術だが、














それすらも遠くに霞む、
今作の冒頭10分以上!にも及ぶ「長回し」には
もはや感動をはるかに通り越し、「恐怖」すら感じる。
(この恐怖は予告を観るだけでも充分感じられる)

















その「恐怖」の正体は、

サンドラブロックが巧みに演じきった故に感じられる
無限の宇宙空間に投げ出された一人の人間が感じた
圧倒的絶望から来る「恐怖」はもちろんのこと、
















それ以上の「恐怖」の源泉は、同じ映像に携わる人間として、

「どうすればこんな映像を作り上げることが出来るのか?」

というもはや絶望にも似た、
いや、むしろ「絶望」をもはるかに超えた「恐怖」である。


キュアロン先生!マジでどうやって撮ってんの?
いくらかけたらこんなの撮れんの?


キャメロンもスピルバーグも舌を巻いた究極の映像美。
実際に宇宙を見た宇宙飛行士ですら、

「どうやって撮影したんだ!?信じられない!」

と叫んだほどの完成度。


さらにそこに、

本物の宇宙飛行士並に、いやむしろ
それ以上に体に負担をかけたであろう
360度激しく回転し続けながら、人間の絶望と希望を
完璧に演じきったサンドラブロックの怪演、
(アカデミー主演女優賞にふさわしい!!)













絶望的な宇宙空間で唯一の希望を照らす
クールなジョージクルーニー、













そして絶望の後に訪れる希望を、
陳腐な「死」や「物語」で語らない重厚な脚本、
全てが非常に高いレベルでまとまった傑作。


この映画を見ずして「映画を観た」とは言えない、
エポックメイキングとなり得る、
まさに100年に1本の傑作である。

そして何よりもこの映画は、
「映画館で観る」ことに意味があり、
「3Dで観る」ことに意味がある。

そこにもこの映画の価値が凝縮されている。

キュアロンは、現代において映画界が持てる全ての技術を
徹底的に、一切の妥協無く追求し、見事に映像化を成し遂げた。

大迫半端ねぇ!
キュアロンもっと半端ねぇ!

それは同時に「映画館で映画を観る」という
もはや死語とも言える言葉の意味を再度確認させてくれた。

今持てる全ての技術をつぎ込んで作られた映画だからこそ、
そんな最高峰のレベルの映像だからこそ、
映画館で、3Dで観るべきなのだ。

「DVDでいいや」何て言っちゃダメだ。
映画館でやっている間に映画館で観るからこそ、
この作品が上映されている時代に生きる者の義務だ。

それは言い過ぎかもしれないけど、
そう言いたくなるくらいこの映画は価値がある。
だからこそ、「映画として100点」なのだ。


絶対にもう一回見る。
皆さんも是非劇場で!!

2013年11月22日金曜日

映画『マラヴィータ』63点


2013年11月16日鑑賞。


スコセッシ×リュック・ベッソンということで、
必然的に鑑賞前のハードルは上がるわけだが。


結果から先に言えば、そのハードルを超えることは出来ず。


リュック・ベッソンと言えば、やはりテンポの良い編集と音楽、
そして何よりも迫力のある銃撃シーン、アクションシーンだが、
今回はそこに至るまでの「フリ」が長すぎる。
















その「フリ」というのは、
「訳あり」家族4人のキャラ紹介なんだけど、
ここが何というか中途半端なのだ。


破天荒すぎる母親がむかついたスーパーを爆破させたり、











なめきったナンパをしてきた男子同級生を
テニスラケットでボコボコにしたり、
















笑えるシーンはあるにはあるんだが、
そんなキャラの濃い家族をより際立たせて
ブラックコメディに振りきれば良いのに、
どうも行ききらずに、ただただダラダラと時が流れる。


かといってそれが
レオンほど深みのある哀愁を醸し出すわけでも無い。


というわけで、ここまで前振り長くしたってことは
さぞかし最後の戦闘シーンは凄いんだよね?

というハードルは上がりに上がり切って最終局面へ。


ところがどうだ。

一番カタルシスを感じたいドンパチシーンが
あれ?もう終わり?もうちょっと見せてよ!

拍子抜けする程あっさりし過ぎていた。
リュックベッソンはもう終わったしまったのだろうか・・・
なんだか悲しくなりました。

2013年11月18日月曜日

映画『悪の法則』77点



2013年11月15日鑑賞。

首をながーくして待っていたリドリースコットの最新作。
豪華キャストそろい踏みで、
脚本はノーカントリーのコーマック・マッカーシーだから
駄作のはずがない!とワクワクしながら鑑賞開始。


いやしかし…
開始10分で、

「これは何やらいつものリドリー先輩と違うぞ」

という空気を察し始める。


そう、亡き弟のトニースコットに負けず劣らず、
さすが兄貴!といういつもの空撮、素早いカット割り、
グラディエーター、プロメテウスでこれでもかと
かましにかましたど派手なCGはなりを潜める。


これってリドリー先輩の映画だよな?
なんて確認したくなるほど
穏やかで、靜かで、不気味な会話劇が淡々と続く。


というわけで、いつものリドリー先輩を期待して
鑑賞に臨んだ人々は、早々に駄作の烙印を
押してしまうのではないかという作品。


僕も冒頭はそんな一人になりかけたわけだが、
しかしどうもそうとは思えない。

話自体はハリウッド映画に「よくある」
麻薬カルテル(メキシコ中心)の抗争話だ。
これが会話劇を中心にゆっくりと動き出す。

一見退屈に思えるこの映画だが、
しかし、「いつものリドリー先輩と違うぞ」という
妙な好奇心をまさぐられた心理状態と
予告でもイヤと言うほど押されている豪華キャスト陣















の重厚な演技合戦で充分に退屈せずに見れる。


中でもやはり圧倒的な存在感を放ったのは
主演のファスペンダーでも、
ペネロペ&バルデム夫妻でも、
ブラピでもなく、間違いなくキャメロンディアスだ。













これまでの清純派、活発女子のイメージを大きく打破する
スーパーウルトラビッチを素晴らしい完成度で演じきる。

老いこそ隠せないものの、
TOHOシネマズ六本木を爆笑の渦に巻き込んだ
「フェラーリとのSEX」シーンは圧巻という言葉でも
全く持って物足りないアカデミー賞もののパフォーマンス。














これは是非劇場で観て欲しい。
キャメロンはもちろん最高なんだけど、
これを口開けてみてるバルデムの顔がまた最高。
ノーカントリーの冷血殺人鬼とは思えないアホ面。


そしてその様子を男子中学生のように
一生懸命ファスペンダーに語るバルデムの2Sは
もはやコントにしか見えない。

劇場は笑いに包まれていたが、
その笑いは、

「笑って良いんだよね?リドリー先輩…」
「笑うところで良いんだよね?」

という、75歳の巨匠の狙いがどこにあるのか
深読みしてしまうほどミステリアスな仕上がりに。


みたいに終始、何か分からない奇妙なつかみ所のない
演出の連続に始まり、連続に終わる。


そんな映画だが中盤以降、一気に殺しのアクセルが全開になり、
タイトル通り「悪」が、それも目に見えない「悪」が
登場人物達に次々と襲いかかり、見るも無惨に殺されていく。


その死に様足るや無力感極まりない。
映画の前半ではドヤ顔で悪いことばっかりしてた人々が
圧倒的な恐怖感を携えながらあっという間に殺される。


そう、これぞまさに「悪の法則」。
「悪」というのはその対象者に知らないところで、
いつの間にかはびこり、いつの間にか忍び寄り、
気がついたときには時既に遅し。

それこそが「悪の法則」なのだ!
って言いたかったんですかねリドリー先輩?


てな、ことぐらいしか無知な僕には分かりません。
だからどう評価して良いのか分からない。
散漫な脚本、何も解決していないじゃないか!といえば
そうなのかもしれないが、個人的にどうも駄作とは思えない…

しかしそれがなぜなのかわからない…



だから77点という採点は、
同じ得点のサイドエフェクトと同じ77点では無い…
だから人には素直に勧められない…
かといって70点以下という程でも無い…

だが、なぜかもう一度観たくなる、そんな映画。


その理由は何度も言うが映画素人の僕にはわからない。
でも確実に一つ言えることは、

75歳にして、新たな種類の映画に挑もうとしている
リドリー先輩には頭が上がりません!


2013年11月16日土曜日

映画『サプライズ』72点


2013年11月15日鑑賞。


これは素直に面白かった。
得るものは何も無いが、鑑賞後の爽快感が素晴らしい。

90分ちょいというコンパクトなサイズ感も良いし、

スクリーム×ホームアローン×キックアス×半沢直樹

と言っても過言ではないミクスチャー感満載の構成は、
出し尽くされたスプラッタースリラー映画に
スパイスを加えればまだ新しく見えると言うことを
立派に証明して見せたわけだ。


ホラーが苦手な女子でも、R-15とはいえ
さほどグロテスクな描写も無く、非常にテンポよく
ライトに殺人を描いているので不快感は無い。


予告動画を見れば分かるように、
別荘に集まった一家を
突然動物の覆面かぶった殺人集団が襲う。
キツネ・ヒツジ・トラ。

















そして順調に?家族は殺されていく。
無抵抗なままに。

結構惨殺されるんだけど、
こいつらみんなキツネとヒツジとトラだから
なんかコミカルに見えるという妙。
























ここまではスクリーム的な流れ。
だけどこの映画が面白いのはここから。

ホームアローン×キックアス×半沢直樹的な怒濤の展開。
ネタバレになっちゃうから詳細は伏せるが、
マコーレカルキンもヒットガールも半沢直樹もビックリの
「あの子」の壮絶な強さ!

よしいけ!もっとやれ!100倍返しだ!

観客は手に汗握り、
何なら立ち上がって「あの子」を応援したくなる。


殺人集団がなぜ一家惨殺をしようとしたか、
なぜ主犯のあいつはそこまでして主犯となり得たのか
とかいう、
本来重要な物語の核心みたいなものはどうでもいい!
どうでもよくなるほどの100倍返し!
早く100倍返しして!


果たして家族は生き残れるのか?
キツネとヒツジとトラを退治できるのか?

皆さんも是非劇場で!



2013年11月13日水曜日

映画『スティーブ・ジョブズ』55点



2013年11月10日鑑賞。


少し期待しての鑑賞だったが、
驚く程まとまりを欠いた脚本が痛々しい作品だった。


同じカリスマ伝記物で言えば、最近だとやはり
『ソーシャル・ネットワーク』が例に挙がるだろうが、
その完成度には遠く及ばない。


もちろん良いところだって無くは無い。
主演のアシュトン・カッチャーは役作りに励み

















歩き方まで非常によく似ていたし、
『バタフライエフェクト』以降、特に印象が無かったが、
俳優としての実力を見せつけてくれた。


だが、それ以外には特にほめるべき点が無い映画だ。


まず冒頭、インド旅行で何かに開眼するジョブズ。
だがその前後や彼の人柄を全く描かずに
ただ単純に天に向かって舞い、祈るジョブズが
スピリチュアルに描かれているので、
新興宗教の教祖にしか見えない。














まぁそういう風に見せて、彼を「奇人」と印象づけるために
あえて冒頭に持ってきたのかもしれないが、
それにしても安易すぎる演出。


こんな感じの冒頭からこの映画の胡散臭さを感じ始め、
もしかしたら駄作かも…みたいな臭いを醸し出し始める。


その後も消化不良な脚本は炸裂する。
『ソーシャルネットワーク』における
ザッカーバーグ顔負けの人間として欠陥ありまくり、
奇人変人はみ出し者ジョブズは描かれているものの、













こんな風にジョブズは会社で裸足、
しかも風呂入っていなくて臭いから上司に風呂入れと
編集所のADみたいなこと言われるわりに、
誰も出来ない機械のアップデートを短時間でやりきり
ドヤ顔で裸足の足をデスクに投げ出す始末。


この辺の真意はともかく、
ザッカーバーグ然り、天才と変人は紙一重というか
イコールで結ばれる傾向があり、
何かしら突出して欠落している傾向がある。
そういう観点ではこの映画というか、
ジョブズの奇人変人ショーとして楽しめなくは無い。


さらに言うと、楽しめたということでは無いが、
アメリカのまさに「契約社会」ぶりには驚かされる。

とにかく義理や人情など彼らの社会通念には存在しておらず、
自分を見いだしてくれた人だろうが、
立ち上げから一緒にやってきた人間だろうが、
邪魔になれば何の躊躇も無く解雇する、切り捨てる。


















日本ではあり得ない光景がこの映画で何のフリも無く
何度も何度も訪れる。

ジョブズもその犠牲者であり、
最終的には彼を見いだし、
最初に投資してくれた人間を自ら切り捨てた。
アメリカ人からすれば何の疑問も感じない
映画の一コマに過ぎないのかもしれないが、
これらは日本人にとっては非常に異文化で、
何か胸くその悪さを感じしてしまうシーンだった。


そんなこんな駄作だとか良いながら、
随所に印象深いシーンはあるのだが・・・

しかし一番肝心というか、盛り上がりたい
IBMとの戦争や、同じく時代を作った天才
「ビル・ゲイツ」との対決、ipod・i phoneの発明、
これらがなぜか駆け足どころかほとんど描かれていない。


マイクロソフトに「盗作」されてビルゲイツに直電して
激ギレするという、最も観賞者側が興味ある流れを
予告で流れていた電話シーンのみで完結させるという
ビルゲイツ大先生に圧力をかけられたのか?と
深読みしてしまいそうになるほど乱暴すぎる脚本!


















そんな中でも面白かったのは、
『ソーシャルネットワーク』のザッカーバーグも
ジョブズも、なぜかキャンパスで素足であること。














アメリカの天才はみんな裸足なの?
ホリエモンとかも東大裸足で歩いてたのかな?
少なくとも俺は靴下と靴をしっかり履いて
キャンパスを闊歩していたからアメリカにおける
天才にはなれないのかな。

2013年11月10日日曜日

映画『グランドイリュージョン』70点


2013年10月30日鑑賞。

正直あまり期待していなかったが普通に楽しめた。

まず全体的に編集と音楽がスタイリッシュでテンポよく、
映像も美しく、退屈せずに見れる。
これはとても重要なことだ。

そして何よりもこの映画の新しさというか、
評価されるべき点は、

所々垣間見られる

「いや、それはあり得ないっしょ!」
「なんかよくわかんないけど雰囲気で進もうとしてない?」

みたいな展開や脚本を、

「全てはイリュージョン」

という大きな皮を被った作品だという認識を呼び戻せば
全てを許せてしまうと言う、
一見今までにありそうで無かった切り口を採用したことだ。


あとは何と言ってもザッカ-バーグ君こと、
ジェシー・アイゼンバーグ君のイケメン化しかない。














ソーシャルネットワークの時の
ただのオタクにしか見えなかったザッカ-バーグ君が、

















こんな風にリア充系イケメンマジシャンになっちゃうんだから
映画って本当に面白いですよね。


とはいえ、正直黒幕がどうだとかいう話とか、
モーガンフリーマンの立ち位置がよくわかんないとか、
イケイケマジシャン集団を追う警察の男女が
結ばれたりするのは圧倒的にどうでも良いとか、
映画の中にはわりと気持ち悪い箇所はあるものの、
全編通して映像が美しく、テンポも良いので
デート映画には最適の映画なのでは。