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※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2013年4月1日月曜日

映画『フライト』72点



毎回抜群の存在感を放つデンゼル・ワシントン先輩が主演の映画。

PR見て、ドキュメンタリータッチのシリアスドラマを
想定していたら、ところがどっこい。

デンゼル先輩が演ずるは、完全にアル中、薬中の天才パイロット。
そんな破天荒を極めたパイロットが、
トラブルによって墜落確実の飛行機を
まさかの天才的な逆さま飛行などの荒技で不時着させ、
デンゼル先輩が一躍ヒーローになるという展開。

ところがどっこい。
デンゼル先輩から薬物反応は出るわ、
アルコール反応は出るわで、一転犯罪者に。
そりゃそうか。

そもそも冒頭からコカインを鼻からしっかり吸い込む
デンゼル先輩が登場するので、
なるほど、これがPG12たる所以かと理解。

予想以上のデンゼル先輩の薬中ぶり、破天荒振りは
驚かされたものの、そこはロバート・ゼメキス監督。
綿密かつ、重厚な脚本で、最後まで飽きさせない
アカデミー賞ノミネートもうなずける作品だった。

話を戻すと、この映画の太い縦軸は、

アル中で薬中だけど大惨事を防いだ天才パイロットは
「犯罪者なのか英雄なのか?」

これがこの映画の根源的なテーマであり、
見る側はこの一見単純そうに見える疑問を
頭の隅に置きながら鑑賞することを強いられる。

そんな『ゼロダークサーティ』にも似た
ハリウッドおきまりの勧善懲悪では
二進も三進もいかない、そんな違和感を覚えながら
鑑賞することを強いられるのだ。

そもそも薬中でアル中でもなければ、
この事故は未然に防げたんじゃ無いか?

いや、この自己は自然災害で、不可避なモノであって、
その状況でも冷静かつ適切かつ天才的な技術で
大惨事を回避する能力を発揮できたのは、
薬と酒のおかげなのか?

みたいな葛藤。
鑑賞者側の自発的な葛藤だ。
そんな葛藤をデンゼル先輩の懐の深い演技力が
さらに増長させるわけで。

だから最後のシーンも、
息子が刑務所にいるデンゼル先輩に対して
「父さんは何者なの?」と問う。

その答えは、実際に鑑賞したあなたに突きつけられているのだ。


みたいな一見深いような映画に見えるんだけど、
どうも鑑賞後に「感動一塩!」とはいかないこの映画。

なぜか?

それは終始この映画に鑑賞側が感情移入できないから。
シリアスなドキュメントものかと思いきや、デンゼル先輩は生粋の薬中。
そんな破天荒なドラッグストーリーとシリアスな正義か悪かみたいな
軸がきちんと整理できないまま話が突進していくので、
どすればいいかわからなくなるわけだ。

というわけで劇場で見て後悔しない基準である75点には少し及ばない。

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