注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2013年2月24日日曜日

映画『ヘッドハンター』65点




★あらすじ(Amazon転用)

「ミレニアム」シリーズ製作陣が贈る、
北欧系傑作サスペンススリラー日本上陸!

狙った相手が、ヤバかった!
ヘッドハンターの仕事をしながら、
裏で美術品を盗むことで高級な暮らしを
維持する男の人生最悪の危機を描く!
スタイリッシュなバイオレンス描写と
意外なストーリー展開から目が離せない!



「ノルウェーのタランティーノ現る!」
「早くもハリウッドリメイク決定!」

みたいな触れ込みで
ハードル上がりきったまま鑑賞したけど、
96分というちょうど良いサイズ、
そして伏線張りまくりで最終的にしっかり回収しきるお話、
タランティーノを彷彿とさせる開放的な暴力描写、
確かによく出来た映画でした。

ノルウェー映画って初めて見たけど、
タランティーノ的なクレイジーな空気感、暴力感に付随して、
そこに世間というか世の中に対する
アイロニーもおり混ざっていてバランス良い。

ただのサイコスリラーという視点だけでは無く、
いろんな要素をテンポ良く織り交ぜているので、
最後まで飽きずに見れる。

ただ、みんなレビューに書いてるけど、
クライマックスに向かっていく過程で、
伏線貼りまくったフリの最終的な回収方法には
多少というか、かなりの強引さを感じずにはいられなかった。
そういう意味で70点からマイナス5点。

ハリウッドでリメイク決定しているそうですが、
誰がリメイクするんでしょう?
コーエン兄弟?

2013年2月18日月曜日

映画『ゼロ・ダーク・サーティ』85点




この監督(キャスリン・ビグロー)の前作、『ハートロッカー』は、

「評価が難しい映画」と感じ、その「プロパガンダ感」について
自分なりに試行錯誤させられる映画だった。


その答えが、この作品では少しだけ見えたような気がする。


今回もビグローの映画は、ビンラディンを追い詰め、
そして殺害に至るまでの過程を、CIAのマヤという優秀な女性分析官の視点を中心に
ドキュメンタリー形式で描いている。


まず言えるのが、映画全体を通してこのマヤを演じた
ジェシカ・チャステインという女優の圧倒的な存在感。














彼女のどこか哀愁というかもの悲しげな「目」は、
PRにも使用されている、涙が頬を伝うシーンに
象徴されるように、終始この映画が描く世界、
つまり「アメリカの対テロ戦争」が、いかに虚しく、
出口の無いものであることを象徴しているかのようだ。


この映画の冒頭は、今までの9.11以降のアメリカを
描いた映画には無い演出方法から始まる。

別にネタバレじゃ無いから書いても良いでしょ。

それは、真っ暗な画面に音声のみが流れるという手法で
9.11当時のおそらく警察無線の音声が流れるというもの。

助けを求める人の声が飛び交い、それはもう悲惨という言葉そのもので、
隣に座っていたスーパーサイズミーを体現したような
アメリカ人のおじさんが前のめりになって、頭を抱え、
見ていられない!みたいなジェスチャーに陥るほど。


そこから本当に淡々と、
主人公のマヤが徐々にビンラディンに近づき、
そして追い詰めるまでを描いていく。


そう、監督のキャスリン・ビグローは、
ハートロッカーも同様に、映画を淡々と、
とにかく淡々と、ドキュメントという方式を持ちながら
静かに描いていく。


ハートロッカーの時は、これが逆に胡散臭さを
感じさせる原因になっていた。自分的に。

一見「客観的」に見える映画に見せておいて、
ある方向に観客の思考を持って行こうとしていないか、そう感じてしまったのだ。


だが、今回「ゼロ・ダーク・サーティ」を見ていて、
これはプロパガンダ、反米、親米という
「思想」みたいなものを一方的に発信するのでは無く、

あくまでも

「これを見たお前らはどう思うの?」

という、観客に対して投げかける、
つまり、見ているだけで「こいつが悪い」「あいつが悪い」
みたいな勧善懲悪的二元論で、
観客が簡単に結論づけ出来るような
甘い映画では無いのだ。

拷問にしても、アルカイダにしても、
アメリカの対テロ戦争にしても、その賛否について
明確なメッセージ性はこの映画には無い。

だからこそ見ている側は、
適当な気持ちで見ていれば見ているほど、
何か煮え切らない、どうして良いか分からなくなる。


だからこそ、マヤは自分の任務である
「ビンラディン確保=殺害」を成し遂げ、
実働部隊の兵士達がハイタッチするように、
ガッツポーズすれば良いが、そうはならない。

彼女は涙を流す。


















それは歓喜の涙で無いことは、
彼女の表情を見れば誰だって分かる。

では、この涙は何なのか?
対テロ戦争の「無意味さ」を象徴する涙なのか?
それとも実は達成感=勝利の涙なのか?
その答えは僕ら観客に委ねられている。

全編通して観客は、スクリーンを通して、
そして、マヤというCIAの女性分析官を通して
対テロ戦争という現実を突きつけられ、
対テロ戦争に対するスタンスを求め続けられる。

そんな監督の強い意志が見事にまとめられた
優れた作品だと思います。
最近見た映画の中では『アルゴ』に匹敵する良作。

ただ一つ気になったのが、
ビンラディンの住処見つけるまでがはしょり過ぎなのと、
最も重要な「オバマがなぜ突入を許可したのか」という
点が描かれていないこと。
あえてなのかもしれませんが、煮え切りませんでした。

皆さんも是非、劇場で。

2013年2月15日金曜日

映画『 007/慰めの報酬』60点



カジノロワイヤルよりは面白かった。
カジノロワイヤルはダニエルグレイグ第1作ってことで
気合いはいりすぎて色々ボンドの内面とか描き始めて
あっち行ったりこっち行ったりで145分もあったから
ひたすら長いと感じてしまった。

それよりは、今回の「慰めの報酬」は良かった。

ただやっぱりシリーズものって展開が確実に読めるから、
その意味で(悪い意味)期待値を超えてこないから
鑑賞後、特に何も残らない。

ただある意味でこの感想は間違っていて、
シリーズものというか、特にこの007は、
そこに何か思想性というか主義主張みたいなモノを
求めること自体がナンセンス。

「007シリーズ」そのものが
エンターテイメントになっていて、
これを一つのパッケージとして気楽に楽しめば良い。

とは言え、

「ダニエル・グレイグってマジで男前だわ」

「あんだけ動き回ってスーツにシワ一つ出来ない!
さすがトムフォードのスーツ!」

くらいしか印象が無い。
これは否めない感想。

ピンチになって女とセックスして女救って大ボス殺す。
そのセオリー通りの映画。

そう考えると24の緊張感の連続を
何シリーズも、しかも毎話やり続けるのってスゴいわ。

2013年2月13日水曜日

映画『プラダを着た悪魔』70点



最近見たわけじゃ無いけど、
思い出したかのようにレビューシリーズ。

『レ・ミゼラブル』での驚異的な歌唱力、
いや、「感情を込めて歌う」ってまさにこのこと、
そんな今をときめくアンハサウェイの
徐々にアカ抜けていく様子がとても美しい映画。

そして、「さすがアカデミー賞に17回ノミネート!」と納得の
鬼編集長メリルストリープの圧倒的な演技力に脱帽。

女性向けの映画かと思いきや、
テンポ良くスタイリッシュに、常に流行を追い続け、
現在を消費し続けるファッション業界を描いていて、
男でも退屈せずに見れる映画。
ファッションに少しでも興味があれば、なお楽しめる。

そして何よりも若き日のアンハサウェイが、
まさに「脱皮」していくかのように美しく、
洗練されていく様子は、
単純に見ていて心踊らされるモノがあります。

メリルみたいなパワハラはご勘弁願いたいけど、
ゆとり世代のヘナヘナ新入社員達には
是非とも心にとめてほしい格言説教がたくさんありました。

2013年2月6日水曜日

映画『ハートロッカー』75点



監督が同じ『ゼロダークサーティ』の予習として鑑賞。

あの『アバター』をなぎ倒し、アカデミー賞の主要部門をさらった作品だが、
この映画は評価が非常に難しい。


何が難しいかって?



War is a drug-戦争とは麻薬だ

というメッセージからこの映画は始まる。

しかし通常の戦争映画とこの映画が異なるのは、
「一見」反戦反米映画に見えないことだ。

通常の戦争映画というのは、
鑑賞中や鑑賞後、何かしらの強いメッセージみたいなものを
否が応にも感じ取らされることが多い。

もちろん、通常の戦争映画と同様に、
イラク戦争を爆弾処理班を通して描いたこの映画は、
常に死と隣り合わせとなる米兵の恐怖みたいなものを、
兵士達を通して感じさせられるという点では、
「戦争って恐ろしい」という単純な感情的反戦反米メッセージは存在している。

だが、この映画は何かが少しだけ違う。

そこには派手なドンパチ銃撃戦は無く、
人を殺しすぎて狂った兵士も存在しない。

ただひたすらに、爆弾処理班のある兵士達の「日常」がある。
ドキュメンタリーとして彼らの戦争を切り取っている。

だから、通常の戦争映画のように、
正視できなくなるほどの「戦争のリアル」みたいなものがない。

戦争映画によくある、極限の状況で相手を追い詰め、
追い詰められ、でも最後はぶっ殺す!
嗚呼俺は何をしてるんだ!的な起承転結が無い。

だからそれを求めて鑑賞する(それを求めるというのも悪趣味だが)と、
圧倒的に物足りない。

圧倒的に静かな戦争映画なのだ。

ただ、今やスターの仲間入りをしたジェレミーレナー扮する
超優秀爆弾処理班ジェームズがギリギリの状況で爆弾を処理する過程を描くシーンは抜群。

斬新なカメラ割りで、ジェームズの一挙一投足に観客は凄まじい集中力を強要される。
このリアリティーを演出する監督には素直に脱帽。


しかし、ちょっと待て。


中身の感想はそれで良い。
でも何かが引っかかる。

反戦反米でも戦争讃美にも見え無いこの映画

じゃあ何が言いたいんだ結局?

僕は最初、この映画がアカデミー賞かっさらったのは、

もうそろそろ
「反戦!反戦!イラク戦争は最低だった!」
みたいな風潮やめにしようぜ?な、みんな?

みたいなアメリカの空気が受賞させたんじゃ無いか、
そう思った。

この映画は直接的にイラク戦争を否定していないように「一見」見えるし、
かといって肯定しているようにも見えない。

ただそこにあるのは兵士達のリアル。
柔らかに反戦を描いて、優れたドキュメンタリー作品として成立させているように見える。
だから受賞できた・・・

いや、でもちょっと待て。

この映画の終盤、見ていて何かむずがゆい、
気持ち悪いシーンがあった。

ジェームズはその素晴らしい爆弾処理能力で
数々の爆弾を処理し、多くの人命を救い、帰国する。

そこに待っているのは嫁と赤ちゃん。

そしてシーンはいかにもアメリカ的なでっかいスーパーに。
ここでジェームズは、なぜか嫁さんと赤ちゃんと別々に
でっかいカートを引いて買い物を始める。

僕は最初、このシーンを見て「必要なのこのシーン?」
と思ったが、嗚呼なるほど、

命に危険をさらしたけど、無事帰国できて良かったね、
ウォルマート的ないかにもアメリカの日常画で安心してね
みたいな安価なメッセージなのかなと思った。

いやちょっと待て。

この後のシーンを見てこのちょっと待て感は確信に変わる。
ジャームズは自分の赤ちゃんに向かって
何とも親として夢も希望も無いことを言い放つ


「僕の歳になると、びっくり箱が布と針金で
 できてるって分かってしまうんだ」。

「年をひとつずつ取るごとに、大事なものが多くなって、
"特別なもの"とは思えないものが出てくるんだ」。

「そのうちに、ほんとに大好きなものが何かも忘れてしまう。」
「君が僕の歳になったときには、
 父親のことも記憶の一片になってしまうんだよ」。


赤ちゃんに何言い聞かせてんだよジェームズ!
とか思い始めた僕は、ちょっと待てよ感の正体を知る。

そう、つまりジェームズは、映画冒頭の

War is a drug-戦争とは麻薬だ

の言葉通り「戦争中毒者」なのだ。

自分の赤ちゃんに言い聞かせたことはジェームズ自身の話であって、
彼は大人になって大切なものが分からなくなって、家族を一番大切だと理解しながらも
結局爆弾処理班での成功の快感を忘れられずまたあの危険な戦場に戻る。


だから映画の終わりも、またジェームズがイラクに戻り、
任務を開始するところで終わる。


ここまで考えてみて、この映画は評価が難しい。
やっぱり反戦反米映画なのか。

ジェームズみたいな中毒者を生産するのは危険だぜ!

的な反戦・反米メッセージなのか?


いやでも、この映画はやっぱり何かが違う。
その違和感は、この映画は反戦ではあるけど反米ではない
その違和感じゃ無いのか?


そもそもイラク戦争始めたのはアメリカなわけなんだけど、
ここに描かれてる兵士達は、さっきも書いたように


「戦争」中毒者であって、彼らの背景にあるモノは「戦争」だ。

つまり「戦争」が彼らを中毒者にしてしまった。
この映画はそういう描き方をしている。

犯人は「アメリカ」ではないのだ。
だから、アメリカってホント傲慢なクソッタレな国家!
みたいなものは鑑賞後感じない。

そういうヌルっと反米を取り除いた反戦映画が
アカデミー賞をかっさらったということは、やっぱり最初持った感想の

もうそろそろ
「反戦!反戦!イラク戦争は最低だった!」
みたいな風潮やめにしようぜ?な、みんな?


みたいなアメリカの空気が受賞させたんじゃ無いか、

っていうのは強ち間違っていなかったのかもしれない。
アメリカ批判にアメリカ自信が疲れちゃって、
でもやっぱりアメリカはいつでも「正義」であるべきだから

「戦争は良くないよ!そうだろみんな?これを見ろよ!」
「よくわかんない青いCG野郎に興奮してる場合じゃ無いよ!」

みたいなことでアバター落選。
そういう構図なんじゃ無いか。

長くなったけど、そういう意味で、「良い映画!」と手放しで拍手できない、
が、しかし、こういう現代アメリカを非常に巧妙に

暗喩的に画が切った映画という意味では評価は高い・・・
やっぱり評価が難しいと言うことで、
次回作まで様子見という意味も込めてこの得点に。

2013年2月5日火曜日

映画『アウトロー』67点




『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』以来のトムクルーズ作品。

佳作中の佳作。キングオブ佳作。
採点が難しいけど、67点。

PRを見ていて、トム様のかつての作品『コラテラル』的な
「アウトロー」を予想していたのだけれど、
予想以上にポップな「アウトロー」だった。

往年の名作『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家、
クリストファー・マッカリーが監督と言うことも有り、
物語は、「5人が殺害された事件の背後に隠された“謎“」を
解き明かしていくというサスペンスミステリー。

しかしそこには、『ユージュアル・サスペクツ』並の
素晴らしい緻密に練られた構成は見られない。
残念ながら。

ネタバレになるので、これから見る人は読まないでほしいが、
最後まで、実は裏切り者だった黒人警官が
悪に手を染めた理由が分からなかったし、
そもそもなぜ悪の親玉は今回の事件を起こしたのか、
というより、ここまでしてこの事件を起こすべきだったのか、
いや、そもそもおまえ何者なのいったい的な
謎は一向に解き明かされる気配が無いまま時は進む。

ではなぜそんな物語的に破綻しているように見える
「アウトロー」は世間的に評価が高い「ルーパー」よりも
点数が高いのか?(67点と65点)

この映画は、先述したように、事件は解決されるものの
そのトリックにはアガサクリスティー大先生のような
鳥肌の立つような展開構成では無い。

目立つのは相も変わらずトム様の無敵ぶり。
これはMIシリーズにも言えることだが、見ていて単純に痛快。
タイマンは相変わらず圧倒的に強い。小さいのに。
ドライビングテクニックも圧倒的。小さいのに。
タイマンを見ていて思ったが、彼には対人戦の時に
圧倒的に自信を持っている動きがあることに気づいた。
相手の背後をとって、
素早く自分の右肘を対角線上に振り下ろす。
この一撃手で相手の足を粉砕するんだけど、
この動きはトム様のあらゆる映画の対人戦で見られる。
きっと得意な形なんだろう。

話がそれた。

で、その単純明快な痛快さで、
まず2時間弱、特に飽きる時間も無く見れる。

そして何よりもこの映画の特徴が、
無敵のトム様、アウトローのトム様が、
すかした「笑い」を提供してくれることだ。
これはMIシリーズには無い。
新しいトム様なのか。

この笑いがまた何とも言えないところをつついてくる。
アメリカ的な大味な笑いではなく、
くすくす笑い的な、すかしの笑いなのだ。

トム様が守るべき女を人質に取られ、
犯人からトム様に電話がかかってくる。
それをとったトム様は、相手の弱みを握っていることを
知らせ、「女はご自由に」と言って電話を切る。

さすが「アウトロー!」
ただの正義の味方とは違うぜ!

とベタな「アウトロー」で着地したかと思いきや、

今回のトム様は、すぐに電話をかけ直す。
「やっぱりおまえを殺す!」
そして切る。

と思ったらまた思い出してかけ直す。
「場所を教えろこのやろー!」

何この下り。
必要?

でも間違いなく映画館の空気的にはスベってなかった。
こんな笑いを全編通して織り交ぜてくるから、
コラテラル的なアウトローを予想していた僕は
逆をとられた力士のように、土俵で回された。

つまり、なんか変なツボに入った。

これに大味の痛快アクション、悪者退治ストーリーが
組み合わさったアウトロー。
緊迫ムードが続いていても、
中毒的にあの「すかし笑い」がほしくなってる自分がいた。

つまり、脚本の粗雑さをカバーできる
斬新な特徴を持った映画だった。
これが期待を裏切り続けた「ルーパー」との差。

でも今になってよくよく考えてみると、
このトム様が演じた

「圧倒的に強いけどユーモラス(やや天然)」

って、同時期?に大流行したジェームズボンド先輩の
流儀を取り入れちゃったのか?もしかして。
とか思い始めると、これまたなぜか逆に、
加速度的にトム様のアウトローが
愛らしいキャラに見えてくる、そんな不思議な映画でした。

2013年2月1日金曜日

映画『コラテラル』74点



トム様の本当の「アウトロー」が見れるのはこっちでしょ!
って思い出して、購入して再観賞。

やっぱりこっちのトム様の方が完全に悪役として完成されているし、そして何よりもクール。

頭からケツまで、従来の正統派清潔感おぼっちゃまヒーローとは一線を画す、
ワイルドな白髪、タイトなグレイスーツをノータイで着こなすトム様。

身のこなしもクールで007顔負けのスピード、スーツ着用中とは思えない軽やかさ。

そして何と言っても、今回このために
イギリス軍の特殊部隊にレクチャーしてもらったらしい銃の手さばき加減が半端じゃない。
ジャックバウワーも驚きの素早さ。

忘れちゃいけないジェイミー・フォックスとトム様の、
主にタクシー車内で繰り広げられる会話劇もウィットに富んでいて、
十分に見ごたえがあるし、何よりも全編通して緊張感を保ち続ける構成も良い。
見て損はありません。

アウトローはアウトローで、謎のスカし笑いヒーローという新たな境地を開拓したトム様ですが、
映画としても、トム様のキャラづくりの完成度はやはり、コラテラルの方が圧倒的に高いですね。